私の戦闘力は530000です
ですが、もちろんフルパワーであなたと戦う気はありませんからご心配なく…
出典:ドラゴンボール24巻/140p
登場作品:ドラゴンボール
分類:大悪党
職業:宇宙の地上げ屋
立ち位置:ナメック星編ボス
悪人度:S
カッコよさ:B
強敵度:A
存在感:A
作品貢献度:A
演:中尾隆聖
☆悪役というもの。そしてフリーザ様の場合?
やはり1ページ目はこの方だろうと、ドラゴンボールのフリーザ様を紹介したい。有名な悪役なので今更語る事もないと思うのだが、それを言ってはおしまいだろう。
さて、個人的には悪役というのはいくつかタイプがあると思う。おおまかに分けると「根っからの悪役」「過去に影響された悪役」「ネタ悪役」「悪役というかライバルキャラじゃね?」と、こんなとこだろう。更に分けると熱血型やらクール型やら天才型やら努力型やら・・・・・きりがないのでそれはさておき、今回語るフリーザ様は上記の中では「根っからの悪役」だと思われる。
最近ではどちらかというと「過去に影響された悪役」が多い傾向にあると思う。悪役にもこんな辛い過去やきっかけがあるんだ!という訴えが聞こえるがごとく辛い過去持ちの悪役が増えた気がする。しかしこのフリーザはただ強くて誰も逆らえないから星を制圧するわ殺すわ子供にも容赦ないわと、悪役に過去なんざいらねぇ!悪いだけだから悪役なんだよ!という訴えが聞こえるかのような「根っからの悪役」なのだ。
そもそもドラゴンボールという作品は基本的には主人公の悟空が章ごとに現れる敵と戦い、退ける→そのまま作中で時間が経過し、新たな敵が現れるのでこれをまた悟空(もしくはその仲間や息子)が退けていくという流れを繰り返す形である。
このフリーザは全体の流れから見れば中盤のボスという事になるが、個人的には純粋に悪人として描かれた最後の敵ではないかと思っている。フリーザの後に現れる敵は悪党と言いにくかったり、造られたから悪であったり、悟空に恨みがあるから悪かったり等何かしらの「理由」があったように見える。
ところがフリーザは悟空が関わる前から、誰かにつくられたわけでもインプットされたわけでもないのに星を手に入れて売りさばくようないわゆる地上げ屋をしていた。
ぶっちゃけてしまえば、やり方はともかくとしてフリーザとしては仕事をしていたにすぎない。ところが社員であるベジータの反乱と結果的に彼と手を組む事になった地球人陣営が邪魔をしてきたゆえに排除しようとした流れになったため、見方を変えるとフリーザは被害者とも言える(被害者といっても勿論悪い事をしてたら邪魔されたのでカッとなってついでに殺そうとしたという同情のカケラも無い被害者だが)。
無論、悟空とも戦闘の際に初めて会ったので因縁や過去の怨恨等もなく(一応悟空の故郷である星がフリーザによって破壊されていたり、悟空の父バーダックがフリーザに挑んで死亡していたりなど因縁が無くもないが、悟空自身は殆ど気にしている様子はない)戦闘開始されるわけで、とくに何の理由もなく悪事を働いていた悪人VS正義の味方の構造が出来上がるわけだが、ようは悟空達への恨みや悪意のインプット無しに悪い仕事をしていた。個人的にはこの部分がフリーザをただの悪いヤツに見れる要素ではないかと思う。そして、これらが彼を根っからの悪役と評するに値する要素ではなかろうか。
読者から見ても「自分の不老不死のため」とかいう他人にとってはきわめてどうでもいい理由で、ただ平和に暮らしていただけの星に自分勝手に侵略して虐殺を繰り返し、子供すら容赦なく殺害する(させる)姿はたった短時間のうちの情報量ではあるが「悪者」としてのインパクトを多大に与えたのではないかと思う。
また、本作においてドラゴンボールを悪用しようとした最後の悪役である事もその存在感に一役買っていると思う。後半ただの便利アイテムになってしまったドラゴンボールだが、かつてはこういう私利私欲の為に使おうと企む敵ばかりだったなぁと考えさせられる。
出典:ドラゴンボール24巻/22p
☆なぜフリーザが好きなのか?そして愛されるのか??
さて、フリーザが根っからの悪役タイプだという事を散々書かせていただいたのだが、ここからは彼の悪役っぷりについてとどの辺が好きなのかを書いていこうかと思う。
おそらく彼については多くの先駆者が語っていると思うのだが、やはり根本にある部分としては「大ボス」という立場が影響を与えているのではないかと思う。
ドラゴンボールという漫画は初期は主人公の悟空はまだ少年で、出自は謎のままストーリーが進んでいった。彼が大人になり、息子が産まれた後にようやく彼はサイヤ人という異星人である事が明かされ、舞台も宇宙へと移っていくわけだ。
まずは兄ラディッツや後のライバルキャラとなるベジータ等のサイヤ人から地球を守る為に戦う事になるが、やがてベジータさえも恐れている存在であるフリーザが物語の舞台に登場。こうしてサイヤ人襲来から続くいうなれば「宇宙編」の最終ボスとして君臨するという流れなのである。
サイヤ人襲来とナメック星編を分けて考える方もいるとは思うが個人的には筆者は「ラディッツ登場から悟空が超サイヤ人に覚醒してフリーザを打ち負かすまでを1章」と考えているので、個人的な意見になってしまうが非常に長い1章のラスボスという形に映るため、壮大なボスキャラに見えるというのがフリーザの魅力のひとつではないかと思う。
(余談ではあるが作者の鳥山明氏はフリーザの名前の由来を「食品(この頃の敵キャラは全て野菜や乳製品、果物から名前をつけられている)全てを統括するボスという意味を込めて冷蔵庫からとろうとしたが、英語にするとダサいので冷凍庫の英語名のフリーザにした」と言っている)
一言で言うなら「存在感が魅力」という事だ。確かに強さだけで語るなら後に出てきたセルやブウの方が圧倒的に上だろうが、その存在感はフリーザが両者を圧倒している。
強さという概念を見たとしても、その後はともかくこの時は何度も読者、視聴者に絶望感を与えるものであるため、彼が君臨していた時期は間違いなく「強すぎ!」という印象を与えるだろう。
基本的にフリーザはダメージはちゃんと受けるのも強さのインパクトを与えやすいのではないかと私は思う。
どういう事かというと、最近の作品でありがちな「何でも無効にしちゃう便利な能力」とか「無敵のバリア」とかを使っていないという事だ。悟空が20倍界王拳を使用した時も、まったくダメージを受けていないわけではなく「少しは効いた」状態だった。だが、個人的にはこういった「少しは効いてる」描写が絶望感や緊張感を煽るのに成功していると感じた。
他の魅力としてはやはりその独特なキャラクターだろう。部下にすら敬語で話し、常に冷静に見える態度。そしてオカマ口調には謎の強キャラっぽさが見える。
おそらく下級兵であるアプールの名前や、ベジータはともかくナッパやラディッツの名前も全て記憶している辺り自軍の構成等も見事に把握しているうえに基本的には判断力に優れている事からただのバーサーカーキャラでない事もうかがえるのだ。
また、個人差があるかもしれないが、自分の思惑通りにいかなかったり追い詰められたりするとメッキが剥がれ、荒々しい口調になったり怒りを顕にしたりするフリーザだが、私的にはこの辺りも好きだ。これに関しては小物に見えるため好き嫌いが分かれるとは思うが、「金色のガッシュ!!」や「鬼滅の刃」等にもこういったケースのキャラクターが登場する事を考えると間違いなく後世に影響を与えたといって良いと思う。
特にフリーザは劣勢になると一人称が変わり口調も荒々しく変化というだけでなく
、死にかけると命乞いをし、更には背を向けて去ろうとする悟空に攻撃を仕掛けてまでいる。
汚いという印象がデカいと思われるだろうが、こういった汚さも悪役としては必要な要素であろう。
余談ではあるが、「ドラゴンクエストⅤ」に登場するゲマはフリーザをモデルにしているといわれている(しかも、後にCVは中尾隆聖さんになった)。
番外的な魅力にはなるが、担当声優の中尾隆聖氏の熱演も要素のひとつと言っていい。フリーザの形態ごとの演技の違いは素晴らしいの一言。中尾隆聖氏は他にもばいきんまんやNHKのキャラクター等幅広い役を演じておられるが、悪役が光る声優として知られているのは間違いなくフリーザを演じた事が影響されていると思う。
(個人的には映画名探偵コナン二作目の沢木公平役が好き。格好、顔付きに変化がないのにあの狂っていく様子が浮き彫りになっていくのは中尾氏の熱演あってこそ)
存在感、独特なキャラクター性、確かな強さや絶望感、いざという時の卑怯さ、役者の熱演・・・・・悪役としては申し分ない魅力の持ち主であると総括する事は決して過大評価ではないだろう。
残念な点としては、これだけ完成された悪役がトランクスの引き立て役として出番を終えた事だろうか。個人的には、ナメック星と共に運命を共にする最期でも良かったのではないかと思う。
また、最近ではフリーザが新作アニメ等で味方になったりしているのも少々残念なポイントである。
魅力的な悪役は、なかなかおさまるところも落ち着かないといったところだろうか。
【フリーザの名言集】
「ドドリアさん、お待ちなさい!殺すのは、まずお若い3人になさい!」
「追うんですよ、ドドリアさん!つかまえなさい!」
↑部下にすら敬称をつけ、敬語で命令するフリーザ。まるでポケモンに指示を出すような形だが、サトシより丁寧な感じでありつつ偉そうな感じでもある様を見事に表現している。
「私の戦闘力は530000です…ですが、もちろんフルパワーであなたと戦う気はありませんからご心配なく…」
↑冒頭でも書いたがフリーザの代表的な台詞のひとつ。連載当時一世を風靡したという「戦闘力」。この時は高くても5万とかだったため、桁外れの数値だった。
それにしても作中では2000や30000等で壊れる事もあったスカウターで、530000という数値を正確に測れたのだろうか?
「願いを叶えるのはこのフリーザ様だ!貴様ら下等生物なんかではない!」
↑それまでは怒ってもあくまで丁寧語を崩さなかったフリーザがついに本性を表した際の台詞。これには多くの読者が驚いたのではないだろうか。
「初めてですよ…ここまで私をコケにしたおバカさん達は…」
「ぜったいに許さんぞ、虫けらども!じわじわとなぶり殺しにしてくれる!1人たりとも逃がさんぞ覚悟しろ!」
↑それまでのひっぱりが効いていた事もあり、多くの読者が戦慄したフリーザの名場面。かわいく表現するなら「我慢してたけどついに怒っちゃった」といったところだろうが、実際に本気を出せばその場にいた全員を簡単に殺せるため、恐ろしさが上手く表現されている。
それにしても、フリーザの言う「じわじわとなぶり殺す」というのは多くの敵がやりがちな失敗だと思う。これのせいで数多の敵キャラが逆転を許してきたのではないだろうか。
「当たり前だ…たった3匹のアリが恐竜に勝てると思ったのか?」
↑自称恐竜。ちょっと可愛い。
「よくそんな大ボラが吹けますね…超サイヤ人などと…くっくっく…
いちいち癇(かん)にさわるヤローだ!」
↑超サイヤ人になりつつあるというベジータに対して。宇宙の帝王はノリツッコミも天下一品である。
「何しろ力があり余っているんだ。ちょっとやりすぎてしまうかもしれん。
くっくっく…戦闘力にしたら100万以上は確実か…」
「お待たせしましたね…さぁて、第2回戦と行きましょうか…」
↑フリーザが第二形態、第三形態に変身した際のそれぞれの台詞。名言というほどではないかもしれないが、アニメ版だと中尾隆聖氏が形態毎に見事に声を変えて演じ分けている。
ちなみに第三形態はばいきんまんに近い声質で演じていらっしゃった。
「知ってたはずだろ。僕がくだらないジョークが嫌いだってことをさ…」
↑ベジータにトドメを刺した際の台詞。日常会話で使えなくもない、かも?
「僕にホコリをつけたのは、親以外では君が初めてだよ」
↑フリーザにも親がいたという事が発覚。正直、この時はこの親というのが次に出てくる敵キャラなんじゃないかと予想していた・・・・・のだが・・・・・
「いちおう最後に聞いておこう…どうかな、僕の下で働いてみる気はないか?」
↑フリーザはこうして部下を増やしていったのだろうか?作中にて悟空はあっさりこのスカウトを一蹴したが、これを受けてしまったというIFが見てみたい気がする。
「今のは痛かった…痛かったぞーーー!!!」
↑それまで冷静だった最終形態フリーザがついにキレた。日常においても足の小指を棚等にぶつけた際に使えるのではないだろうか?
「ふふふ…まったく人をイライラさせるのがうまい奴らだ…」
↑これは多くの場面で使えそうな気がする。春→花粉に対して、夏→蚊に対して、冬→すぐ曇る車のガラスに対して。あっ、秋だけない!
「この星を消す!」
↑一部ゲームでは技名に採用されている台詞。そもそも第一形態で惑星を破壊できるので、かなりインフレしてるような・・・・・
「木端微塵にしてやる!あの地球人のように!」
↑クリリンのことかー!
「このフリーザを…不老不死にしろー!」
↑ナメック星の神龍、ポルンガが出現した際のフリーザの叫び。ポルンガはナメック語で願いを言わないと受けつけないため失敗に終わった。
フリーザのものまね芸人、山本氏がよく言う台詞でもある。
「お…俺は宇宙一なんだ…!だから…だから貴様はこの俺の手によって、
死ななければならない…!俺に殺されるべきなんだーーーっ!!!」
↑仮にも命を助けてくれた相手に対し、背後から攻撃しながら。まさに恩を仇で返すとはこの事。
個人的にはフリーザで一番好きな台詞。べきという言い方からプライドの高さが、行動から残忍さと卑怯さ・・・・・というかなりふり構わない様子がうかがえる。