ようこそいらっしゃいませ。趣味でYoutubeをやっており、世界名作劇場やミニ四駆、ガンダムなどのアニメ作品などと幅広いものを取り扱っているつもりになっている投稿者です。ここでは主にYoutubeの宣伝と投稿者の趣味全開の雑記、駄文を展開していきます。どうぞ、お手柔らかに!

【小公女セーラ】未来の大統領夫人!ラビニア・ハーバート【山田栄子】

ね、あなたに会うのがずっと楽しみだったの

退屈なヨーロッパ旅行よりもね

なぜだかわかる?

登場作品:小公女セーラ
分類:意地悪の度を越したいじめっ子リーダー
職業:ミンチン女子学院代表生徒→転落→返り咲く
立ち位置:作中キャラ及び視聴者のヘイトを集中させる避雷針の一角
悪人度:S
カッコよさ:B
強敵度:A
存在感:S
作品貢献度:A
演:山田栄子

アルフレドアンジェレッタに続く「世界名作劇場キャラクター台詞集動画」の第3弾!

ミンチン女学院の女王ラビニアがついに登場だ!

↓動画はコチラ↓

☆悪女代表!?ラビニア・ハーバート

魔法使いラビニア見参!

さて、ラビニアであるが、そもそも「小公女セーラ」には代表的な悪役キャラクターがふたりいる。ひとりは舞台であるミンチン女学院の学園長であるマリア・ミンチン院長(マリアという名前が名前負けしている…!)。そしてもうひとりがこのラビニアだ。コイツらは世界名作劇場の数多の悪役たちの中でも嫌いなキャラとして名が挙がりやすい、いわば世界名作劇場の悪役キャラクターの代表格である。

基本的に視聴者のヘイトはこのふたりに向き、他にも台所の意地悪夫妻とラビニアの取り巻き二人がセーラにとってのエネミーと言っていい。少なくとも学院内に6人はいじめっ子がいたということだ。
セーラはこの名劇屈指の悪役軍団を同時に相手にし、見事逆転して見せたのである。

そんなミンチンとラビニアは、どちらが嫌いか?となるとこれは人によるのではないかと思う。

ミンチンの場合、若い頃は妹のアメリア(ちなみに決して意地悪なキャラクターではないのだがあまりに優柔不断すぎてセーラの味方になりきれないという意味でイライラさせてくるキャラなため、アメリアを嫌う方も少数派だがいる)共々貧困に苦労したという同情できる過去がありはする。ミンチンとアメリアは歳の差が結構あり、回想ではまだ乳児ほどのアメリアを世話する10代くらいのミンチンの姿が見れるので姉妹共々貧困に苦労したというよりミンチン院長の方が苦労の比重は遥かに大きかったであろうことは想像に難くない。しかしどれだけ悲惨な過去があったにしても大人の立場を最大限利用したセーラへの虐待、理不尽にセーラを責め立て追い詰める様の気分の悪さ、金利や損得に異常に執着して簡単に手のひらを返す大人としての汚さなどどう足掻いても不愉快な存在でしかないのは否定できない。

…ただまぁ、ミンチンの場合はダメージを受けるシーンや個人的にはだがその傍若無人な振る舞いが怒りを通り越して笑える場合もあるため、まだ救いがある。最終的には莫大な寄付金を手に入れるわけだし…ここは賛否両論だとは思うが…

このラビニアの場合は巧みにミンチンを利用してセーラへぶつけたり、意地悪な本性を隠して大人の前ではいい子ちゃんぶったりなどやり方が狡猾で知能犯的で非常に視聴者をイライラさせる。そもそも常に子分ふたりを引き連れているあたりが不愉快さを感じさせる要素である(この子分ふたりも意地悪だが最初はラビニアを裏切ってセーラに擦り寄り、セーラが転落したからラビニアの子分に戻っている。挙句の果てにセーラが逆転するとセーラにまた擦り寄っていた…良い言い方をすれば世渡り上手)。

実は原作小説ではラビニアはあまり出番がなく、憎き敵キャラとして暴挙の数々を犯すのは「世界名作劇場版の小公女セーラのラビニア」なのだ。理由は定かではないが、おそらく意地悪役がミンチンやコック達等の大人だけでは不足しているためラビニアに白羽の矢が立ったのではないかと思う。原作ではそれなりの年月の話なのをアニメ版では1年の話にしているため、大人以上に身近(同年代?)な意地悪キャラからのリアルないじめを演出する意図もあったのかもしれない。

ラビニアもセーラが入学してきた事により、代表生徒から下ろされたり取り巻きをはじめとした周囲の生徒達の人気がセーラに集中した事で孤立感を感じたりなど最初期だけ見るとわりかし同情というか、転落後のセーラをいじめる理由みたいなのはプライドをとことんズタズタにされた描写から納得出来なくもない。

とはいえ、彼女のやり方は直接的に権力を行使してセーラをいじめるミンチンと比較すると間接的というか他人を利用したり差し向けたりするようなやり方が多く、特にコイツがミンチンを差し向ける形でセーラを拷問するコンボ攻撃は視聴者によってはミンチン以上にヘイトを集めるだろう。山田栄子さんの素晴らしい演技により、大人の前では巧みにぶりっ子を演じ、裏では「ミンチン」呼ばわりするシーンもあるなどなかなかにしたたかである。

セーラはアーメンガード、ベッキー、ピーターの誰かひとりでも欠けていたら途中で死亡していた可能性すらあり、少なくともミンチンとラビニア双方がいじめによって少女ひとりを殺しかけたのは事実であるが、ミンチンの場合世間体を気にしてやむなくヤブ医者(と言われがちだがこのワイルド医師はセーラを気遣ってわざと誤診したりしてそうな気もするが)を呼んだりなどするが、ラビニアはまったく反省の様子などなく、セーラの邪魔こそすれ手助けになった回など皆無である。

また、ミンチンはラビニアがセーラを自分専用メイドにしようとした際(第20話。この回はラビニア以外はわりかし優しい回である)はさすがにセーラに同情し、いつもよりは優しい面を見せたりなどポイント稼ぎした回もあるがラビニアにはまったくないのだ(その回にてラビニアは父親から平手打ちを喰らう羽目になるが代表生徒に返り咲く事には成功しており、しかも特別室は手に入れたため、結果的にあまりスカッとしないのもポイント)。

個人的にだが前述した6人のいじめっ子のうちセーラへの助け度を見ると…

ジェームス(素直にセーラを褒める事があったり暴力をふるったりはしない)>取り巻き二人(まだ害が少ないという消去法で)>ミンチン(少なくとも屋根のある部屋を提供している点)>モーリー(セーラに何かしら与えている点が皆無、コイツが余計な事を言う展開が多い、セーラに暴力をふるう)>ラビニア

といった具合じゃないかと思う。こう書くと誤解されそうだがジェームスはまだマシなだけであって悪党には変わりはない。

世界名作劇場全体で見ると殺人クラスの犯罪に手を染めている組織が出てくる「七つの海のティコ」「トム・ソーヤーの冒険」のインジャンが地味に殺人犯であるなど悪役としての凶悪度で測れば「小公女セーラ」内の悪役たちは中堅レベルになってしまうかもしれないのだが、基本的にはベネックス達やインジャンを押しのけて嫌いなキャラにミンチンやラビニアの方が挙がりがちなのはもはや悪役としての強烈なインパクトが殺人犯のレベルを超えているからであるという事は認めざるを得ないだろう。

実を言うとこの文章や後の文章は以前「エブリスタ」にて書いていた「悪役図鑑」のスター特典(ようは応援してくれてる人にだけ見せられる隠し要素)として書いていたものが雛型だったりするのだが、スター特典にした理由は当時の私がこのラビニアをはっきり言って好きではなかったからである。嫌いだったと言ってもいい。

ところが、どうも私はこのラビニアでセーラがらみの二次創作をいくつか作るうちに彼女を気に入ってしまったらしく、めっちゃ好きというわけではないのだが普通にこうして台詞集をつくるまでにはなっている。だがそんな私でも今回の動画をつくるにあたってセーラを再視聴したところ、やはりイラっとくる回はどうしてもあった(笑)

特に取り巻きとトリオで夏休み前のセーラを「夏休みはどこへ帰るの?…あー!あなたには帰る場所も迎えに来る両親もいなかったんだわね!♪」と意地悪を言った挙句トリオで大笑いするシーンは

「この外道どもがー!!!!!」

とつい思ってしまった。シャレにならん!父を亡くしたばかりでボロボロな生活をする自分らより年下の娘にするいじめじゃねぇぞコレ…(;^ω^)

ちなみにYoutubeのこの動画のコメ欄に寄せられたコメントでこういったものがあった。

 

当時山田さんの元には、剃刀や虫の遺体入りの手紙が届き、更には「貴女がこんな人とは思わなかった」と、親友から絶縁されかけたそうで、精神的に参ってらして、セーラの最終回のアフレコ終了直後、「こんな役は、もう二度とやりたくない・・・」と、涙ながらに呟いていたそうです・・・

 

なんという恐ろしい時代!!今はネット環境が整い、意見交換の場なども多いからこういうのは抑えられてるんだろうか?山田栄子さんはすごく役に入り込む方なので、それゆえになかなかラビニアの心情を理解できずにご苦労なされたとの事。

セーラ役島本須美さんは「泣きながらセーラをいじめていたほど」だと語ったそうな。うーむ、役者さんすらも困らせてしまうあたりが他の名劇悪役とは一線違う部分と言えるのではないだろうか?

ちなみに補足しておくと、今では山田さんにとってはすごく勉強させてもらったキャラという事で少なくとも当時よりは好意的に見てくださっている。動画内でもあるが本編よりだいぶ後の「しあわせパスタストーリー」にも出てくださっているし。

そして島本須美さんと山田栄子さん、ガートルード役の佐々木るんさんは本編の陰鬱さとは打って変わって仲良しのようだ(一緒に仲良く写った写真や、佐々木るんさんのYoutube動画内にて佐々木さん自身が渡米から帰還した際何人かの仲の良い役者さんの名前を挙げた後「須美ちゃんにも会った」と語っていた)。

もし可能だったらこの三人でセーラのオーディオコメンタリーとかやってほしいなぁ…

 

☆なぜラビニアはあれほどまでにセーラをいじめたのか

さて、そんな視聴者からも嫌われ、演じた山田栄子さんにまでカミソリレターの被害を与えて泣かせた悪女ラビニアであるが、なぜ彼女はそこまでセーラを目の敵にして虐めたのか?

彼女は嫉妬深く、意地っ張りで、プライドが高く、常に自分がナンバーワンでなければならないという非常に上手い具合の性格付けがされている。そのような性格付けがしやすいようにか、ラビニアの両親が元々裕福だったわけではなく、油田で一発当てた成金(スピードワゴンみたいな感じか)として描き、そういった背景がラビニアの現在の性格になってしまった事に説得力を与えているのだ。そして彼女には作中での描写や母親からの溺愛っぷり(おそらく父親は忙しく、普段は母親とふたりの時間の方が圧倒的の多かったものと思われる)を見る限りは兄妹などもいない。つまりは一人娘として両親に甘やかされて育ってきたと解釈することができる。

ゆえに、ラビニアにとっては自分というのは一般人とは土台の違ったお嬢様であり、無条件に優れた人間なのだ。だからこそ学院ではリーダーをやり、自分よりも出来ない人物(アーメンガードやロッティ)を目の敵にしないと気が済まないのである。そんなんだから事あるごとに服の自慢はするし、得意なダンスにも絶対の自信をもっていた。

セーラが現れる前の彼女にとって、他の生徒達は自分の指揮下に入って当然の存在だと思っていたのだろう。その傲慢な思い上がりはミンチン院長から「代表生徒」の地位を与えられたことで公認され、ラビニアは学院でナンバーワンの座を手に入れたというわけだ。これによって他の生徒達はラビニアがどれだけ傍若無人に振舞おうがお金持ちを鼻にかけようが何も言うことはできないし、子供どころか大人たちでさえ何も言うことはできなかった(尤も、ラビニアが大人の前では猫を被る性格だったのもあるとは思うが)。規模は小さく、あくまで子供のレベルではあるが大げさに表現すれば「恐怖政治」と言ってよかったと思う。

…だが、そこに全ての面で自分を上回るのに年齢だけは自分より若いセーラが出現してしまった。

セーラとラビニアではミンチン学院での生き方は対照的と言えた。セーラは全くお金持ちを鼻にかけることはなく、どんな相手とも自然体で接してどんな相手とも「友人」になろうとした。彼女は生徒達を従わせるのでなく、楽しませる事で人望を集めて自然にリーダー、人気者になる片鱗を見せ始めたのだ。それは生徒だけにとどまらず街の人や市長夫人などの大人に対しても有効であり、ミンチンですら無視できない才覚であった。対してラビニアは学院の最高権力者であるミンチンに取り入ることで発言力を高め、最終的には「代表生徒」という地位による力で強引にリーダーに成り上がったのである。言わば、自身の才覚でミンチンに嫌われていようが人望を集めることが出来るセーラと自分の力だけでは代表生徒になれたかすら怪しいラビニアでは絶対的な壁があったのだ。

つまりはセーラの生き方というのはあらゆる意味でラビニアには不可能な事だったのだ。そしてラビニアが度々「あなたが私より優れているからではない」とセーラに言い放っていたのはこういったコンプレックスを刺激され、あくまでも自分よりも財力があるから…そこだけは負けてるんだ!しょうがないだろ!と寧ろ自分に言い聞かせていたのである。

もうひとりの悪役、ミンチンは当然性格的にはラビニアタイプ…というよりラビニアに輪を掛けたようなタイプで学院内で院長という立場である自分にヘコヘコと頭を下げてこない人間が認められない性格である。それゆえにラビニアとはウマが合うし、ミンチンはラビニアに一目置いたゆえに代表生徒の地位を与えたのだ。対して父が死去する前のセーラは最初の授業でミンチンに遠慮する事なく上手なフランス語を披露。その後も馬車で勝手に外出し、学院内でパーティを開催と悪く言えばミンチンに遠慮せず好き放題やっていたわけである。初期の話を見るとセーラにイライラしてるシーンが結構あり、しかし財力があるから何も言えないもどかしさを度々表現していた。

逆に、ラビニアに対してはしばらく代表生徒として生徒たちのリーダーを任せていた。

そんな状態ならば、本来学院内におけるラビニアの立ち位置と権力は不動のものであるはずだった。いくらセーラに生徒たちからの人望があろうが学院の支配者であるミンチンを味方に付けているのだから…!当然、ラビニアも3話目の時点からミンチンがセーラを内心好いていない事は見抜いていたし、それゆえにフランス語の件でミンチンの心の内でセーラに対する憎悪が生まれた際は意地悪くニヤついていたのだ。他にも「こんな事ミンチン先生が知ったら」などとセーラを脅すような場面も度々見られた。尤も、セーラは決して屈することなく毅然とした態度だったのでラビニアが悔しそうにして終わりというパターンが続いていたわけだが。

しかし、ラビニアの安心と予想を裏切る展開がついに起きてしまう。ミンチンはセーラの背後にある多額の資産に目がくらみ、ラビニアの立場とプライドを生け贄に捧げる道を選んでしまった。言ってしまえばラビニアの学院に滞在するアドバンテージを粉砕したのだ。

なんとミンチンは媚びを売るためにセーラを代表生徒とし、セーラは名実共に学院のリーダーとなったのである。つまりラビニアが築き上げてきた地位を丸ごとセーラに譲渡し、しかも人望もラビニアはセーラに全く及ばない事を知っていたため大きなショックを受ける。

だから「代表生徒」というワードにやたらこだわっていたし、自分がもうセーラに対して逆転不可能である事を察していたゆえに見苦しく食い下がっている時期があったのである。内心「自分はこの娘にはかなわない」という思いもあっただろうが、前述した性格ゆえに認めることはできず、大きな壁に苦悩する日々が続いた。これが後々までセーラを恨み、セーラに辛く当たる理由になって行くのだ。

その後、セーラは人生転落。無休無給のメイドとして学院でこき使われることとなり、当然元々セーラを嫌っていたミンチンとラビニアは転落してメイドになったセーラに対し執拗なまでに壮絶ないじめを繰り返す。

あくまでも言い返したり反撃したりせずに耐え忍び、ひとりきりで泣くシーンはあるものの逃げ出そうとしたりもせずとにかく我慢するセーラの姿。これには賛否両論あるとは思うが、少なくともラビニアにとっては「可哀想」という気持ちはなく、寧ろ「気に入らない!」という気持ちだった事は間違いない。

ラビニアはある日アーメンガードから「なぜセーラをいじめなければならないのか?」という追求を受ける。最初こそ「セーラなんか恨んでいない」と語るが、しつこく聞き返すアーメンガードにラビニアはついに本音を言う。「セーラが堪えたふりを見せない」と…

彼女はセーラをいじめればいじめるほど敗北感に苛まれていたのではないだろうか。その時は快感を覚えたり、スカッとするだろうがラビニアが真に望んでいたのはセーラが自分に跪いて泣きながら許しを請うたり、耐えきれなくなって逃げ出すというセーラの完全敗北と言えるシチュエーションなのだ。だがセーラはそんな素振り一度も見せず、ラビニアの言うとおりに動く事が殆どだった。せいぜい親父さんに平手打ちさせたくらいで、基本的には無抵抗主義に近い対応だったと言える。

結局ラビニアは落ちぶれたセーラをいじめても彼女のいつまでも高貴な姿であろうとする心に勝つ事は出来ず、純粋にセーラの味方でいた友人たちはセーラから離れていく事もなく、しかもエミリー強奪事件をはじめとするいくつかの事件によってセーラに対する皆の人望が落ちぶれる前と少しも変わっていない事を実感させられただけだった。

元々ラビニアは自分のやり方と主義では人望がなく、セーラのやり方と主義なら人気者になれる事は痛感していた。セーラが落ちぶれてメイドになったのはそんなセーラのやり方がラビニアに敗北したからではなく、単にセーラの運が悪くて勝手にラビニアの下に落ちただけなのだ。「自分がセーラより優れているから代表生徒の地位も人望も手に入った…のではなく、あくまでセーラが運悪く破産したから…」…アーメンガードの追求を受けた事でラビニアはこの辺りの論理を思い知ったはずである。セーラがメイドになろうが乞食になろうがどれだけみすぼらしい服装で働かされようが自分は絶対にセーラには敵わないと…

そして…最終的にセーラがクリスフォードに引き取られ、ラルフの破産も取り消しになり、10万ポンドという大金を軽く寄付できるようにまで人生を大逆転させたと聞くとラビニアはセーラに対してひどく悔しそうに歯ぎしりしながらも「負け」を認めたのだ。負けを認めたラビニアは悟ったような笑みを浮かべていた。それまで「セーラは破産しており、人望があろうがお金はない」というラビニアにとって絶対優位な分厚い壁をもセーラはダイヤモンドで簡単に粉砕してみせた。プライドが高いゆえ、破滅から自分の遥か上空まで飛び上がってみせたセーラに対し、自分にとって不可能な事をやってのけたという意味で敬愛の念も抱いていたのかもしれない。

こうして「負け」を認めたラビニアはセーラの望みであった「ラビニアと友達になりたい」という希望を受け、かなえてみせた。セーラと交わした握手と意地悪さのない笑みには敗者から勝者の賞賛と見苦しく喚く事をしないための自身への戒めの意味が込められていたのかもしれない。

しかしラビニアには自分の道を探しつつ、ライバルとしてまたセーラと向かい合おうという気持ちがあった。ミンチン女学院を後にし、アメリカの学校へ転入すると…。自分の敗戦した場を後にし、アメリカで暮らすことを決め、いずれはセーラに負けない地位と財力を築こうと…

ラビニアが認めた「負け」はミンチン学院でのその時点までのことであり、将来については「負け」を認めていない。ラビニアの最後の台詞にはそういった意味があるのではないかと私は思う。

確かにラビニア及びミンチンがセーラに対して行った仕打ちは酷く惨たらしいものであったが、逆に言えば彼女らが本気でセーラをいじめたからこそ視聴者はこの物語に引き込まれ、セーラに愛を感じ、語り継がれていく事になったのも事実である。

嫌われ役を引き受けてこのアニメの注目に貢献し、物語を大いに盛り上げた偉大なるいじめ役ラビニアに対し、私はあえて拍手を送りたい。

 

☆名優・山田栄子さん

山田さんに関しては多少前述したが、せっかくなのでちょっぴり書いていこうかなと思う。

※81プロデュースの公式HPより拝借いたしました

山田さんの世界名作劇場との出会いは有名な話ではあるが「赤毛のアン」である。というか、これがデビュー作なのである。今でこそ世界名作劇場の主人公や主要キャラクターは大御所の有名どころが多いように感じるが、基本的には新人や声優未経験者を主役に据えることが多かった(「ペリーヌ物語」の鶴ひろみさん、「小公子セディ」「ロミオの青い空」の折笠愛さんなどは名劇主役がデビュー作である)。

当時とある劇団にいた山田さんはそこの先輩だった宮内幸平さん(亀仙人やアルムおんじ役。名劇でも多くの役を演じており、山田さんとも共演している)に「交通費2000円出るから行って来たらどうだ」と言われ、結構ノリノリでアン・シャーリーのオーディションを受けたらしい。

当時、主役など演じた事のなかった山田さんはオーディションが相当楽しかったらしく、本人はこの時の楽しそうな感じが選ばれた要素のひとつだったのかもしれないと振り返っている。

この時のオーディションでは後にライバル同士となる島本須美さんと最後まで残ったらしい。ふたりの因縁というか、セーラとラビニアの戦いはここから始まっていたのかもしれない。ただ、この時は山田さんが勝利してアン役を射止めている。山田さんを選んだのは高畑勲監督であり、その盟友・宮崎駿は島本さんをめちゃくちゃ推したらしいのだが(山田さん曰く)高畑監督が「こっちの変な声の方がいい」と言った事で山田さんに決定(高畑監督は後に「確かに綺麗な声なのは島本さんだったが、山田さんの方がアンという少女のイメージを崩しやすかった。あえて選ばせていただいた」と語っている)。

その後、一方の宮崎監督は島本さんを大変気に入り、指名してナウシカ役のオーディションを受けさせたり、数多の役で起用したのは有名な話だろう(笑)

山田さん自身は赤毛のアンを読んだりは全くしておらず、何の予備知識もなく挑んだそうだが、そこも良かったのかもしれない。

ちなみに現在は山田さんも70歳を越え、なんと孫までいるそうな。それにしては綺麗な方というか、とてもそうは見えない美魔女と言える見た目をしてらっしゃるが劇の赤毛のアンではアンではなくマリラを演じているとの事。かつてのアン役がマリラを演じるというのがなかなか涙腺にくるものがあったりする。

ともかく、このシリーズと水が合ったのかアンとラビニア以外にも多くのシリーズキャラクターを演じることとなった。少女、少年、年頃の女性、大人の女性、動物と様々である。

名劇ならばアンの次に有名なのはラビニアではなく、「愛の若草物語」のジョオかもしれない。山田さんもお気に入りのキャラクターだそうで、ラビニアと共に外画版吹き替えでも同役を吹き替えた事がある(ラビニアの方は有志の方が動画サイトにアップしていらっしゃるが、若草物語のほうはないので視聴は非常に困難だと思われるが)。

ジョオとして他の姉妹たちと一緒に歌った主題歌も聞き心地抜群である。

名劇以外なら「ドラゴンボール」のマイ役は様々な年齢の声を演じ分けている。

これが基本形のマイ…まさかの大出世したキャラという事になる

私は実を言うと「ドラゴンボール超」は見ていないのだが、気になって山田さんが出演しているところだけはいくつか視聴してみた。まさか御本人もGT時はかなり歳食った姿だったマイが若返り、20歳くらいの状態の時の姿をGTよりかなり後の時代に演じるとは思わなかった事だろう。

動物なら「流れ星 銀」とか、「忍者ハットリくん」の影千代とかも可愛らしくておすすめ。特に影千代に関しては周りがベテランばかりなうえそれまで演じた事のないようなキャラクターで、かなり悩んでいたところ緒方賢一さんに指導してもらったようで思い出深いキャラクターのひとり(一匹?)のようだ。

そして名劇でもいくつか演じた役柄である少年役。かつてサッカーブームを巻き起こし、少年たちを夢中にさせたがルールがめちゃくちゃな「キャプテン翼」の岬太郎くんは有名どころだろうか。

個人的に山田栄子少年役で外せないのは「太陽の使者 鉄人28号」の正太郎くん役。そもそもショタコンというワードを生み出したきっかけなのがこの正太郎くんなわけだが、この「太陽の使者」は初代鉄人28号のリメイク作である(初代は白黒アニメだからね…)。これはアンを演じた翌年の80年放映という事で、かなり早い段階から役柄の広さをもっていたことがわかる。

しかもこの「太陽の使者」は2012年、つまり1980年から32年も経過した時にあの「スーパーロボット大戦」に参戦。故人となっている役者さん以外は当然当時の役者さんが参加され、もちろん山田さんも正太郎くんを演じた。驚くことに、声が変わっていないのである。32年という非常に長い月日を感じさせない声と演技そして鉄人の凄まじいサポートマシンぶりに感動し、正太郎くんを使いました!というファンも必ずいるはずである。

山田さんはアンをはじめとした自分が演じたキャラクターのかわいらしいぬいぐるみなどもいくつか所持しているようで、演じたキャラクターを大切に思っていてくださるようだ。ラビニアに関しても、当時は色々と複雑だったのかもしれないがもし今ラビニアのぬいぐるみなどが出たら是非とも手に取っていただきたいと思う(笑)

そういえば、もうひとつ忘れてはいけないキャラクターがいた。「小公子セディ」のジェーン役である。このジェーンとセディのおねショタ絡みがすごく好きな方がおり、時代を超えて愛される年の差カップルというところである。これがきっかけというわけではないのだが、8月から公開していく予定の「ソウルキャリバーⅥ 名劇最大トーナメント」ではジェーンが参戦キャラ32人の中に選ばれている。なお、アンもラビニアもジョオもいるため、この企画だけでも山田栄子キャラは4人も参戦していたりする…(笑)(他はマルコ、フローネの松尾佳子さん。セディ、ロミオの折笠愛さん。ポリアンナ、ジュディ、レミの堀江美都子さんが複数役参戦だが、4人という非常に大きい数は山田さんならではといったところ)

   

【ラビニア様名言集】

※山田栄子ボイスで脳内再生してください

「何よ!少しばかり可愛くてお父さんがお金持ちだってだけじゃない。騒ぐなんて変よ!」
↑セーラに対する対抗心剝き出しの台詞。まだ直接会話した事もない状態だが、この時からライバル視していたことがわかる。

「それより覚えておいてほしい事があるわ。私はね、この子達がグズグズしていたら注意したり監督するように院長先生に言われてるのよ」
↑まだ代表生徒の座に胡坐をかいていた頃のラビニア。しかし、考えてみれば代表生徒なんてすごくめんどくさそうというか、小さい子の面倒まで見なくてはいけないなんて…そこまで執着するものなんだろうか?だがまぁ一番目立つポジションに居れるうえに一番優秀みたいな暗黙の了解があるだろうからラビニアのようにプライドが高い生徒からすれば欲しくてたまらない「勲章」なのだろうか。

「代表生徒になったくせにこんな危ない遊びにみんなを誘うなんてどうかと思うわ。私だったら絶対しなかったわね!」
↑代表生徒の座を下ろされ、取り巻きのふたりもラビニアを裏切ってセーラと遊びに行くなど悪夢を見る羽目になるラビニア。そんなラビニアは裁縫箱の中の針で馬(ポニー)を刺し、暴走させる事でセーラを上記の台詞で責めるのだった。ようは自作自演である。ちなみに馬の皮膚は硬く、なかなか裁縫針など刺さらないのではないか?という意見もあるが、彼女にとってはバターを刺すようなものだったのだろう、きっと。

ちなみにこの出来事が私にとって印象深かったため、ソウルキャリバーⅥにおけるラビニアの剣は裁縫針を模したものだったりする。

「なぁにこのアイロンのかけ方皺だらけじゃないの!靴の磨き方だってなってないわ、磨き直しなさいよ!」
↑メイドのベッキーに当たり散らすラビニアの傍若無人な振る舞い。初期のベッキーゆえに仕事にまだ慣れてないからと思われそうだが、ラビニアの性格なら仮に完璧でも文句を言いそうである。ちなみに靴はベッキーに向かって投げた。そんなことしたら靴がもっと汚れる気がするが…

「インドでダイヤモンドが採れたなんて話、聞いた事もないわ」
↑最終的に採れたわけだが、そこに行きつくまでの辛い破産展開を考えるとわりかし鋭い事を言っている。当然、ラビニアからすればセーラへの対抗心ゆえのダイヤモンド否定であるが…

「どう?あなたたちこれでもセーラのお友達なんかでいられる?」
↑破産し、メイドにまで落ちぶれたセーラ。ラビニアを裏切っていた取り巻き二人に対し、これを言って自分の配下へと引き戻すことに成功した。あっさり手の平を返す取り巻き二人だが、セーラの父ラルフ訃報の際にはさすがに悲しそうな顔をしていた。一方ラビニアはここから笑みを浮かべるシーンが増えていく事に。

「何をするのよ!あなたが落としたのよ!」
「何よ、落としたパンを私に食べさせる気!?取り替えなさいよ!」

↑パンをわざと落とした(器用にも人差し指で弾いて落とした)ラビニアはセーラのせいにしてわざと騒ぎ立てる。これのせいでセーラはパンをひとつダメにしたと怒られる羽目に。なかなかの知能犯かつ、指先の力である。ちなみにこのあと院長には「セーラがわざと落とした」と嘘を言いつけ、叱らせる事にも成功している。

「セーラ、これで私とあなたがどんなに差がついたか。よくわかったでしょう?」
↑落ちぶれたセーラと代表生徒の席に返り咲いたラビニア。これまで散々煮え湯を飲まされ続けてきた「ひっぱり」がきいていることもあり、これでもかとセーラを追い詰める。

「私、最初からセーラを好きじゃなかったけれど、この頃のあの子ったら我慢できないわ。ものも言わないで人の顔をじっと見たりして…」
↑実はこの時すでにセーラをいじめる理由を簡単に語っていたりする。じっと見られてるうちに気になる存在になってしまったんですかね?

「これでセーラが来るはずよ!♡」
↑メイドのベッキーにわざと難癖をつけ、他のやつを呼んでこいと言い、ニヤリと笑うラビニア。最初からセーラを来させるつもりだったのだ。
そんなに会いたいのか…

「履かせてちょうだい」
↑実はこの台詞というか、山田栄子さんの言い方が程よくSっぽくて艶があるため、比較的好きな台詞。まぁ私みたいなちょっとMっ気が多少含まれた人なら好めるといったところか。

「あなたの誕生日の時と、どっち?どっちが綺麗なの?」
↑ラビニアの誕生日。セーラにおめかしを手伝わせる。セーラはラビニアに綺麗か問われ、「とっても綺麗」と褒めるがラビニアは予想外の追撃をしてくるのだった。セーラは「自分が綺麗と思った事はない」と返すとラビニアは満足する。

「うふふせっかくだからもらっといてあげるわ!」
↑ラビニアの誕生日。ラビニアはミンチンに「つい先日までクラスメイトだったセーラにも誕生祝いをさせてあげて欲しい」と懇願し、セーラに誕生日プレゼントとして父の形見の人形のエミリーを要求するのだった。ラビニアはなかなかエミリーを渡そうとしないセーラからエミリーを取り上げるが…

「フン、何よこんな古ぼけた人形!私だって最初から欲しかったわけじゃないわよ!…そんなに惜しいなら返してあげるわ!持っていきなさいよッ!!」
↑最初にロッティが、続いてアーメンガードがセーラにエミリーを返すようラビニアを説得する。その声がいつしか全生徒の「世論」となり、ラビニアはセーラにエミリーを返さざるを得なくなるのだった…

「先生、この学校の生徒でもないセーラがデュファルジュ先生からあんなに大事にされるなんて私我慢できないんです。こんな事が続くようなら私、お母様にこの学園をやめるように手紙を書くつもりです」
↑セーラと仲の良いデュファルジュ先生が気に入らないラビニアはミンチン院長に嘘泣き混じりの演技で告げ口+直訴を起こす。自分(というか自分んちの財産)を人質にとる事でミンチン院長にデュファルジュ先生を切り捨てさせるために…
こうしてラビニアのせいでセーラの数少ない味方だったデュファルジュ先生は学園を辞めさせられる事になってしまった…

「私ね、あなたに会えるのがずっと楽しみだったの。退屈なヨーロッパ旅行よりもね。なぜだかわかる?」
↑ラビニアにとってはセーラ>>ヨーロッパ旅行なのだ。それほどまでにセーラに会いたかったのである。
おまえ絶対セーラの事好きやろ!

「やめてよ!あなたに謝ってもらってもしょうがないじゃない!私はセーラに言ってるのよ!」
↑自分の石板が汚れているのをネタにセーラに謝らせようとほくそ笑んでいたラビニアだが、それはベッキーが汚したものだった。正直に謝るベッキーだが、ラビニアはベッキーが謝っても面白くないため、文句を言う。あくまでもセーラを構わせたいいじめたいのだ。

「何よその顔は!私に逆らおうってのね!えぇいっ!」
↑セーラの顔が気に入らないラビニアはセーラを石板で殴ろうとする。同じ声のアンのように…
セーラがこれを防御した事で飛んで行った石板はガラスに直撃。ラビニアはセーラがやったとミンチンに訴えるのだった…

「フン、謝り方が気に入らないけどまぁ勘弁してあげるわ。それから私の部屋も暖めといてちょうだい。あとでジェシー達とトランプするんだから」
↑石炭で部屋を暖め、仲の良い生徒達と温まるセーラだったが後から来たラビニアは無理矢理退かせる。さらにラビニアは石炭の粉が服に飛んだと因縁をつけ、セーラに謝らせるのだった。

「起きなさいよ!」
↑ラビニアの部屋を暖めている時、つい眠ってしまったセーラ。石板の入った入れ物と共にセーラを蹴り飛ばした。なかなかのキック力である。さすが岬太郎くんだ

「あなたのせいよ!勝手に猫を入れたあなたのせいよ!弁償しなさいよ!」
「いいわ、とにかくその服を元通りにしたら許してあげるわ。出ない限りどんなに謝ったって許してなんかやらないんだから!」

↑ラビニアの部屋に入っていた猫のシーザーがインクを落とし、それがラビニアの服にかかってしまった。セーラは嵐の中、ラビニアの服を何とかするため歩き回る事になる。ちなみに余談だが猫のシーザーを演じているのも山田栄子さんだったりする。

「はい、その通りです。彼女は私を妬んでわざとインクをこぼしたんです。それを私達に見つかって仕方なく染み抜きに出かけたんです」
↑親切な服屋さんのおかげで染み抜きには成功したセーラだったが、何時間も帰らなかったためミンチンに激怒される。セーラは染み抜きのために遅くなった事を話すが、ラビニアはセーラが怒られるようにミンチンに嘘を話すのだった。
こうしてお仕置きを受ける事になったセーラは嵐の中歩き回ったせいもあり、身体を壊す事に…

「これはセーラの分よ。ふふふ…」
↑ハロウィンパーティーにて、胡桃の殻を船として使う占いゲームが開催される。これは胡桃の殻に蝋燭を乗せて火を灯し、それぞれが浮かべて棒でかき混ぜるというルールなのだが、ラビニアはセーラにわざと穴を開けた船を渡して参加させるのだった。
だが、セーラの船を沈めるために手を使って水を飛ばしまくったのが災いし、自分の船が沈んでしまう。ラビニアは凄まじく悔しそうな顔をするのだった。自業自得である。

「セーラ!…またいつか会えるかもね、セーラ」
↑馬小屋の火事の濡れ衣を着せられ、学園を追放される事になったセーラに対し、ラビニアは罵ったりせず意外な言葉をかけた。
顔は笑っているがそれまでより嫌らしい笑顔ではなく、もしかしたら何だかんだで寂しかったのかもしれない…

「おめでとうセーラ。あなたさえ良ければ私あなたと仲良しになってあげても良くてよ」
↑破産が取り消しになり、それどころか10万ポンド(当時の日本円で20数億円くらい)を軽々と寄付するまでに人生大逆転したセーラにラビニアはついに負けを認める。

「きっと何十年もたって、あなたがダイヤモンドプリンセスからダイヤモンドクイーンになった頃にね。その頃はきっと私、アメリカ大統領夫人になっていると思うけど」
↑旅立つセーラとの別れ際に。最後までその対抗心を捨てる事はなかった。

見える…!私にも他の記事が見えるぞ!!